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広告成果の問題は、
追客で決まる。

「広告のCPAが悪い」と相談を受けた現場で、本当の論点はほぼ毎回、問い合わせ後の追客フローにありました。広告改善ではなく導線の再設計から始める理由と、現場で動くための具体策を整理します。

2026.05.24 更新 2026.09.25 約10分 eap 編集部
マーケティング 追客 導線設計
この記事で判断できることDecisions
  1. 広告の成果が出ないとき、どこから見直すか広告アカウントより先に、問い合わせから受注・失注までの追客工程を見る。広告を見る人と追客する人が分かれ、その間の数字を誰も追っていないことが多い(FIG.01・FIG.02)。
  2. 問い合わせが来たら、誰がいつまでに何をするか問い合わせの種別ごとに、初回応答の期限と担当、自動にしてよい連絡と人が書く連絡を決めておく(FIG.03)。
  3. 追客が回っているかを、どう確かめるか反応速度・対応品質・記録状況の3点を、週に1回、同じ様式で点検する。まず1週間、手で記録するところから始める(FIG.04)。
FIG.01全体導線図

広告の成果は、問い合わせの「後」の3工程で決まる。広告で見える数字は、導線の最初の2工程までしか映さない

左から右へ(スマートフォンでは上から下へ)。05で失注したリードは、一定期間後に04の商談へ戻す

  1. 広告接触広告を見て、クリックしてサイトへ来る。CPA・CTRなど広告の数字で見える広告運用(外部代理店など)
  2. 問い合わせフォーム・電話などで一次連絡が届く。件数までは広告の数字で見える広告運用・社内の受付
  3. 初回応答決めた時間内に一次返信する。誰がいつ返信したかを記録する社内の営業・事務
  4. 商談提案後、決めた日数以内に次のアクションを入れる。フォローは人が書く社内の営業
  5. 受注・失注受注・失注の結果と、失注理由を記録する。失注は「終わり」にしない社内の営業・経営者

失注したリードは、3〜6ヶ月後の再アプローチで04の商談に戻す

広告の数字で見える工程人が期限を守る工程結果と理由を残す工程
広告を見る人と、問い合わせ後に対応する人は、多くの場合別の人・別の責任範囲です。03〜05の工程の数字をつなぐ責任者がいないと、広告だけを直しても売上は伸びません。
要点
  • 広告のCPAが悪いと言われる案件の8割は、広告ではなく追客フローに原因がある
  • 初回返信は遅れるほど商談化率が下がり、24時間でおよそ半減する。狙うべきは「即時〜数時間以内」
  • 「広告を見直す前に、追客の数字を1週間だけ取る」を最初の一歩にする

1. 「広告の効果が出ない」という相談の正体

地場産業の経営者から「広告に月50万円かけているのに、成約が増えない」という相談を受ける機会が、ここ2年で増えました。広告アカウントを見ると、たしかにCPAは高い。CTRも平均より低い。広告クリエイティブを刷新する提案も、ターゲティングを絞る提案も、媒体を変える提案もできます。

でも、現場でデータを並べてみると、ほぼ毎回、広告以外の場所に本当の論点があります。問い合わせは月100件来ているのに、社員が返信できているのは40件。残り60件は1週間以上放置されている。商談化したリードのうち、再アプローチの仕組みがなく、提案後にフォローが止まっている。こういう状態で広告だけ改善しても、リードは増えるが売上は伸びません。

2. その問題が起きる構造

原因は、広告の運用と、追客の運用が、別の人・別の責任範囲になっていることです。広告は外部代理店が見ています。問い合わせ後は、社内の営業や事務担当者が個別対応しています。両者の数字をつなぐ責任者がいない。月次会議で、広告のCPAは報告されますが、「問い合わせから何時間後に返信したか」「商談化率はいくつか」「失注理由は何か」は、誰も追っていません。

地場産業に多いのは、問い合わせフォームから来た一次連絡が、社員のメール受信箱に届くだけで、誰がいつ返信したかを記録する仕組みがない状態です。社員が忙しい時期は、結果的に返信遅れが連発します。広告の数字は外部に見えるのに、追客の数字は社内ですら見えない——この非対称が、改善の力点を間違わせます(FIG.02)。

FIG.02失注構造図

CPAに映るのは問い合わせまで。失注の多くは、誰の報告にも載らない追客工程で起きている

行が工程。右の列に、記録がないと見落とされる失注の起き方を示す

工程見ている人月次会議に出る数字記録がないと起きる失注
広告接触外部代理店CPA・CTR・クリック数─
問い合わせ外部代理店・受付問い合わせ件数(CV数)─
初回応答社内の営業・事務出ていないことが多いメール受信箱に届いたまま、誰も返信しない。返信が遅れ、その間に他社へ流れる
商談・提案後社内の営業出ていないことが多い提案後のフォローが止まり、検討が立ち消えになる
失注後誰も見ていない出ていないことが多い失注理由が残らず、再アプローチもない。検討が再開した時期の問い合わせを取り逃す

表は横にスクロールできます

広告の数字は外部に見えるのに、追客の数字は社内ですら見えない。この非対称があるかぎり、改善の力点は広告に向き続けます。

3. 経営者が判断すべき論点

広告予算を増やすか減らすかを決める前に、確認すべきは次の3つです。

  • 過去30日に問い合わせから24時間以内に返信できた件数の割合は何%か
  • 商談化したリードに対して、提案後3日以内に次のアクションが入っている割合は何%か
  • 失注したリードに対して、3〜6ヶ月後の再アプローチが運用に組み込まれているか

この3つの数字が即答できない場合、広告アカウントを開く前にやるべき仕事があります。広告は、追客の蛇口が開いていて初めて意味を持つ。蛇口が閉じている状態で水を増やしても、地面が濡れるだけです。

4. 現場で実行するための具体策

追客フローの整備は、ツール導入から入らないことが鉄則です。順番が逆になると、また「ツールを入れたのに現場で使われない」状態を作ります。

011週間、追客の数字を取るだけ

最初の1週間は、ツール導入をせず、問い合わせ件数・初回返信までの時間・商談化件数・失注理由をスプレッドシートに手で記録します。担当者にやってもらうのが理想ですが、それが難しければ経営者自身が記録します。1週間で十分、問題箇所が見えてきます。

02初回返信のSLAを決める

「問い合わせから何時間以内に一次返信するか」を決めて、社内ルールにします。営業時間内なら2時間以内、営業時間外なら翌朝9時までに返信、というレベル感。商談化率は初回返信の遅れとともに連続的に落ち、24時間を過ぎる頃にはおよそ半分まで下がります。「24時間以内」はすでに大きく落ちた地点なので、本当に狙うのは即時〜数時間以内です。SLAを決めない限り、現場の善意では維持できません。種別ごとの期限と担当の置き方は FIG.03 のとおりです。

FIG.03初動ルール・担当分担表運用例

問い合わせの種別ごとに、初回応答の期限と担当を先に決めておく。自動にしてよいのは到達確認まで

行が問い合わせの種別。●が責任を持つ人(色付きの●は、期限を落とすと失注に直結する工程の責任者)、○が関与する人。右端の列が、自動送信にしてよい範囲

問い合わせの種別初回応答の期限受付・記録営業経営者自動にしてよい範囲
見積もり・導入の相談(営業時間内)2時間以内に一次返信○●─到達確認のみ。一次返信は人が書く
営業時間外の問い合わせ翌朝9時までに一次返信●○─受付の自動返信(翌営業日に連絡する旨)
資料請求・情報収集2時間以内に一次返信●○─資料送付と到達確認
提案済みの商談提案後3日以内に次のアクション─●○なし。フォローは人が書く
失注したリード3〜6ヶ月後に再アプローチ○●─再連絡日のリマインドと定型の再連絡文

表は横にスクロールできます

期限は本文の目安(営業時間内なら2時間以内、時間外なら翌朝9時まで、提案後3日、失注後3〜6ヶ月)をそのまま置いています。種別と担当を個人名で埋めた時点で、初動は「現場の善意」から「社内ルール」に変わります。

この表は分担の一例で、実績を示すものではありません。問い合わせの種別と期限は、自社の商材・体制に合わせて置き換えてください。

03追客テンプレートと自動化

初回返信文・提案後3日のフォロー文・失注後3ヶ月の再連絡文を、テンプレート化します。LINE公式やHubSpotなどのCRMで、自動送信できるパターンと、人が書くべきパターンを切り分けます。全自動化を目指さないのがコツです。一次返信は自動でいい。提案後のフォローは人が書くべきです。

04月次レビューで「追客側の数字」を必ず見る

月次マーケ会議のアジェンダに、広告のCPA・CV数だけでなく、初回返信時間・商談化率・失注後アプローチ件数を入れます。これだけで、3ヶ月後の改善議論が劇的に変わります。広告だけ見ていた会議が、ファネル全体を見る会議に変わります。

FIG.04週次点検テンプレート記入用

反応速度・対応品質・記録状況を、毎週同じ様式で点検する。空欄が埋まらない項目が、最初に直す場所

行が点検項目。毎週、今週と先週の欄を埋め、右の列に次の一手を書く

区分点検項目今週先週気づき・次の一手
反応速度問い合わせ件数
決めた期限内に一次返信できた件数
初回返信まで最も時間がかかった件と、その理由
対応品質商談化した件数
提案後、期限内に次のアクションが入った件数
失注件数と、主な失注理由
記録状況返信者・返信日時が記録されていない件数
失注理由が空欄の件数
再アプローチ日が決まっている失注リードの件数

表は横にスクロールできます

最初の1週間は、スプレッドシートに手で記録すれば足ります。記録状況の3行が埋まらないうちは、他の数字も信用できません。月次会議では、この表の4週分を広告の数字と並べて見ます。

項目は本文の「1週間、追客の数字を取る」と「月次レビュー」の内容を週次の様式に並べたもので、目標値は含めていません。実績を示すものではありません。

5. 失敗しやすい落とし穴

  • CRMやMAツールを先に入れてしまう。導入から3ヶ月経っても、現場が使い方を覚えられず、結局Excelに戻ります。1週間の手記録で問題箇所を特定してから、必要最小限のツールを選びます。
  • 初回返信の自動化で安心してしまう。自動返信は到達確認にしかなりません。重要なのは、その後の人による次のアクションです。自動化が入った瞬間に「対応した気」になるリスクに注意します。
  • 失注リードを「終わったリード」と扱う。地場産業の意思決定は、半年〜1年単位で動きます。3ヶ月後・6ヶ月後の再アプローチが運用に組み込まれていないと、競合に流れてからの問い合わせを毎回逃します。
First Step

明日から始める最初の一歩

  1. 過去30日の問い合わせを、受信箱から一覧にする問い合わせ日時と、最初に返信した日時を並べます。返信した人・日時が分からない件が多ければ、その時点で「記録がない」ことが分かります。
  2. 今日から1週間、FIG.04の様式で手で記録するツールは入れません。担当者が難しければ、経営者自身が記録します。
  3. 初回応答の期限と担当を、個人名で1行ずつ決めるFIG.03の表を、自社の問い合わせ種別で埋めます。決めた内容は、次の月次会議のアジェンダに「追客側の数字」として加えます。

6. eapとしてどう支援するか

eapが集客改善に入るとき、最初の2週間は広告アカウントを触りません。問い合わせから受注までの数字を、社内のメール履歴・CRM・営業日報から拾い集めることから始めます。多くの場合、ここで「広告の前に直すべき場所」が3〜5箇所見つかります。

その後、初回返信SLA、追客テンプレート、月次レビューのアジェンダを、運用に乗る形まで設計します。LINE公式の自動配信や、HubSpot等の導入が必要なら、Ruffnoteと連携して実装まで巻き取ります。広告運用は、この導線が整ってから着手するのが順序です。

広告は、最後に改善するもの。最初に見るべきは、問い合わせの後の対応です。

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