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LINEの受信箱は、
4つのルールで回す。

友だち追加・問い合わせ・予約通知が混在するLINE公式アカウントの受信箱を、「誰がいつ何を返すか」のルールに落とす。即レス体制で「他社で決めた」失注を減らす段取りを整理します。

2026.06.03 更新 2026.09.25 約11分 eap 編集部
マーケティング CRM LINE公式アカウント
この記事で判断できることDecisions
  1. 受信箱のメッセージを、どう仕分けるか商談・通知・その他の3種類にタグで分け、人が即レスするのは商談だけにする(FIG.02)。
  2. 誰が、いつまでに、どこまで返すか一次返信は当番、値引き・納期など条件に関わる回答は店長。返信期限と判断権限を1枚の表で固定する(FIG.03)。
  3. 見落とし・二重返信・放置を、何で防ぐか「気づいた人が返す」をやめ、要対応の確認・担当者の設定・翌朝の返信順をルールにする(FIG.04)。
FIG.01運用フロー

受信箱は「受信 → 分類 → 担当割当 → 返信 → 記録 → エスカレーション」の6段で回す

上から下へ。各段の見出しが工程、その右(スマートフォンでは下)がその工程で決めておくこと

01 受信
友だち追加・問い合わせ・予約通知が1つの受信箱に届く。当番が決まった時間に受信箱を開く(通知任せにしない)
02 分類
届いたメッセージに商談/通知/その他のタグを付ける。商談だけを一目で拾える状態にする
03 担当割当
商談は、返信する人をチャットごとに決める。担当が決まっていないチャットを残さない
04 返信
商談は営業時間内15分以内(目安)。営業時間外は自動応答でつなぎ、翌朝いちばんに商談から返す
05 記録
返信が済んだら対応済みにする。検討中は追客リストへ、失注は理由(価格/在庫なし/他社で決めた/返信が遅かった)を残す
06 エスカレーション
値引き・納期・クレームなど、当番の判断を超えるものは店長に上げる。週1回、失注理由を見て翌週に直す1点を決める
多くの店では01と04だけがあり、02・03・05・06が「気づいた人」任せになっています。受注を左右するのは、商談を拾う02と、返す人を決める03です。

「15分以内」は本記事の運用目安です。業種・体制に合わせて決めてください。

要点
  • 受信箱が氾濫する原因は通知量ではなく、「誰がいつ何を返すか」の担当ルールがないこと
  • 見積・在庫・予約の問い合わせは、最初に返した店が勝つ。即レス枠(15分)の有無が失注を分ける
  • メッセージを3種類にタグ分けし、種類ごとに返信期限と担当を決めれば、「他社で決めた」失注は3割前後減らせる

1. 現場で起きている違和感

車検・車販店(中古車販売)でLINE公式アカウントを導入すると、友だち追加は順調に増えます。クーポンや在庫入荷の告知で、月に200〜400件の友だち追加がつくことも珍しくありません。受信箱には1日30〜50件のメッセージが届く。数字だけ見れば、集客の入口は機能しているように見えます。

ところが、しばらくすると現場から同じ声が上がります。「誰が返信するのか決まっていなくて、気づいたら放置されている」「予約システムの自動通知に埋もれて、本物の問い合わせを見落とす」「夜に来た見積の問い合わせに翌日の昼返したら、『もう他社で決めました』と言われた」。ツールは入れたのに、受注につながっている実感がない——これが、LINE公式アカウントを入れた多くの店で起きている違和感です。

2. その問題が起きる構造

原因は、受信箱に性質の違う3種類のメッセージが混ざっているのに、ひとつの受信箱・同じ温度感で扱っていることです。

受信箱に届くものは、(1)商談(見積依頼・在庫の問い合わせ・予約・買取査定)、(2)通知(予約システムや配信ツールが吐き出す自動メッセージ)、(3)その他(営業時間や場所の質問・友だち追加直後のあいさつ・キャンペーンへの反応)の3つです。このうち受注を左右するのは(1)だけですが、件数では(2)と(3)が大半を占めます。即レスすべき商談が、自動通知と雑多な質問に埋もれて放置されるのが、受信箱が氾濫する正体です。

車・車検は、相見積もりが前提の商材です。ユーザーは複数の店に同時に問い合わせ、最初にきちんと返信してきた店から検討を進めます。在庫車なら「まだありますか」の一言に15分で答えるかどうかで、来店予約が入るか競合に流れるかが決まる。つまり「他社で決めた」失注の多くは、価格で負けたのではなく、返信速度で負けています。受信箱の運用ルールがないと、この負けが毎日静かに積み上がります。

FIG.02受信トリアージ表運用例

人が即レスするのは「商談」だけ。通知はシステムに、その他はテンプレに任せる

左の列でメッセージの種類を見分け、右へ読んで返信期限と担当を確認する

種類(タグ)届くメッセージの例返信期限(目安)担当対応方法
商談 ─ 新規見積依頼・在庫の問い合わせ・買取査定営業時間内15分以内当番(条件の回答は店長)人が個別に返信。検討中なら追客リストへ
商談 ─ 予約来店予約・車検予約・予約の変更営業時間内15分以内当番空き枠を確認して返信。予約システムの通知と突き合わせる
商談 ─ 既存顧客納車後・車検後の問い合わせ、不具合・クレームの連絡営業時間内15分以内に一次返信当番 → 店長受け取った旨を先に返し、判断が要るものは店長へ上げる
その他営業時間・場所の質問、友だち追加直後のあいさつ、キャンペーンへの反応即時(自動)─自動応答・定型文で返す。月1回、内容が古くないかを見直す
通知予約システムや配信ツールの自動メッセージ返信しない─人は触らない。別チャネルやフィルタに逃がす

表は横にスクロールできます

件数では「通知」と「その他」が大半を占めますが、受注を左右するのは「商談」だけです。全部に同じ温度感で対応すると、商談が埋もれて失注します。

返信期限と担当は運用の一例で、実績を示すものではありません。LINE公式アカウントのタグ機能には、作成できるタグの種類数やチャットごとに付けられる数に上限があり、上限はオプションの有無で変わります(2026年9月25日時点。最新の上限は公式マニュアルで確認してください)。

出典LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント チャット」マニュアル 確認日 2026-09-25

3. 経営者が判断すべき論点

受信箱を運用に乗せるために、店として決めるべきは次の3つです。配信や広告を増やす前に、ここを決めるのが先です。

  • 商談メッセージ(見積・在庫・予約・査定)の即レス枠を、誰の業務として固定するか(店長か、当番制か、専任か)
  • 営業時間外に来た問い合わせに、自動応答+翌朝の対応で「何分以内・何時までに返す」と約束するか
  • 「他社で決めた」を含む失注理由を記録し、毎週見て手を打つ仕組みを持つか

この3つを決めずに「気づいた人が返す」運用にすると、忙しい時間帯ほど商談が放置され、月末に「今月もLINEから来店につながらなかった」となります。受信箱は、友だちの件数を増やす前に、返す体制を先に決めるのが順番です。

4. 現場で実行するための具体策

受信箱を運用に乗せる手順は、次の4つのルールに集約できます。難しい設定ではなく、決めて貼り出すだけで効きます。要は「商談」だけを人が即レスし、通知はシステム、その他はテンプレに振り分けること(FIG.02)。

01メッセージを3種類にタグ分けする

受信箱に届くメッセージを、(1)商談(見積・在庫・予約・査定)、(2)通知(予約システムや配信ツールの自動メッセージ)、(3)その他(営業時間・場所・あいさつ・キャンペーン反応)の3つにタグ分けします。LINE公式アカウントの管理画面では、チャットにタグを付けられるほか、チャットを「要対応」「対応済み」に振り分けて一覧を絞り込めます。まず「商談」を一目で拾える状態を作ることが、すべての出発点です。

02種類ごとに「誰がいつまでに返すか」を決める

タグごとに、返信期限と担当を決めます。商談は営業時間内15分以内・店長または当番が返信。その他の定型質問は、テンプレで即時返信。通知は人が触らず、システムに任せる。この「商談だけは15分」というルールを紙に書いて受付やバックヤードに貼るだけで、放置がなくなります。担当を曜日・時間帯で割り当てた当番表にしておくと、店長が接客中でも空きません。

あわせて、当番がその場で答えてよい範囲と、店長に上げる判断を分けておきます(FIG.03)。

FIG.03責任分担表運用例

一次返信は当番、条件に関わる回答は店長。返信期限と判断権限を1枚にする

行が業務、列が役割。●が責任を持つ人、○が関与する人。右端が期限の目安

業務当番店長経営者期限の目安
受信箱の確認・タグ付け●──当番の時間帯を通して
商談への一次返信●○─営業時間内15分以内
値引き・納期・下取り額の回答○●─当日中
クレーム・不具合の対応方針○●○一次返信は15分以内、方針は当日中
営業時間外の翌朝返信●○─開店後30分以内に商談から
追客リスト・失注理由の記録●○─対応した当日
自動応答・定型文の見直し─●─月1回
失注理由の週次レビュー○●●週1回

表は横にスクロールできます

店の条件や方針を決める判断(当番に任せない)
当番が止まるのは、条件を決める権限がないのに返信を求められたときです。「当番が返してよい範囲」と「店長に上げるもの」を先に線引きしておけば、一次返信は15分以内に出せます。

この表は分担の一例で、実績を示すものではありません。期限は本記事の運用目安です。当番は曜日・時間帯で割り当て、役職名ではなく個人名で埋めてください。

03営業時間外はバッファを作り、翌朝いちばんに商談から返す

夜間・定休日の問い合わせには、自動応答で「メッセージありがとうございます。翌営業日のオープン後すぐにご連絡します」と即時に返し、ユーザーをつなぎ止めます。そして翌朝の開店直後、まず商談タグから順に返す。相見積もりの相手より先に返せるかどうかは、この朝いちばんの30分で決まります。在庫車の問い合わせは特に、当日午前で勝負が決まります。

04「検討中・他社比較」を追客リストに登録し、失注理由を記録する

「ちょっと検討します」「他も見てから」で止まった商談を、その場で終わらせず、追客リスト(CRMやスプレッドシート)に登録します。1〜2日後にフォローのひと言を送るだけで、戻ってくる商談があります。同時に、失注したものは「価格」「在庫なし」「他社で決めた」「返信が遅かった」のどれで負けたかを記録します。これが、翌週に直す1点を教えてくれます。

5. 失敗しやすい落とし穴

受信箱の事故は、「見落とし」「二重返信」「放置」の3つに分かれます。起きる穴が違うので、防ぐルールも別々に決めます(FIG.04)。

FIG.04運用ルールの比較図

「見落とし」「二重返信」「放置」は、それぞれ別の穴から起きる。防ぐルールも別に決める

行が起きる事故。左から「ルールがない状態」「決めるルール」「管理画面での手当て」の順に読む

事故ルールがない状態決めるルール管理画面での手当て
見落とし自動通知と商談が同じ一覧に並び、商談が流れていく届いたら必ずタグを付ける。通知は別チャネルやフィルタに逃がすタグで商談だけを絞り込む。返信が要るものは「要対応」にする
二重返信手が空いた人が同時に同じチャットを開き、別々の内容を返す返信する前に担当を決める。担当以外は返さないチャットごとに担当者を設定する。未設定のまま返信すると、最初に返信したメンバーが担当になる
放置夜間・定休日の問い合わせが翌日の業務に埋もれ、返信が昼以降になる開店後いちばんに、商談タグから順に返す。営業時間外は自動応答でつなぐ「要対応」の一覧を開店時と閉店前に確認し、返したものは「対応済み」にする

表は横にスクロールできます

3つの事故は、どれも「誰の担当でもない」状態から起きます。管理画面の機能は、ルールを決めてから使うと効きます。機能だけ入れても、担当と確認のタイミングがなければ同じことが起きます。

出典LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント チャット」マニュアル / LINEヤフー for Business「チャットルームごとに担当者の設定が可能に」 確認日 2026-09-25

  • 「手が空いた人が返す」運用にする。誰の担当でもない=結局誰も返さない、になります。商談タグだけは担当を1人(または当番1名)に固定します。
  • 通知を全部オンにして麻痺する/全部オフにして見落とす。予約システムなどの自動通知は別チャネルやフィルタに逃がし、商談だけが手元で鳴る状態にします。
  • 友だち追加の数だけをKPIにする。追加が増えても、受信箱対応が追いつかなければ失注が増えるだけです。見るべきは「商談への返信速度」と「来店・予約数」です。
  • 自動応答を作って放置する。営業時間・定休日・キャンペーンが古いままだと、かえって不信を招きます。月1回の見直しを運用に入れます。
First Check

最初に確認する3項目

  1. いま受信箱に、担当の決まっていない商談が何件あるか管理画面でチャット一覧を開き、見積・在庫・予約の問い合わせを数えます。担当者が設定されていないチャットが、放置の候補です。
  2. 直近の商談に、何分で最初の返信をしたか夜間・定休日に届いた商談を数件選び、届いた時刻と最初の返信の時刻を並べます。
  3. 「当番が答えてよい範囲」を、店長が言葉にできるか値引き・納期・下取り額のうち、当番に任せるものと店長が答えるものを書き出します。書き出せなければ、FIG.03の表を埋めるところから始めます。

6. eapとしてどう支援するか

eapがLINE公式アカウントの運用に入るときは、配信や広告を増やす前に、受信箱の運用ルールから整えます。1〜2週間で、メッセージの3分類とタグ設計、種類ごとの返信期限と担当、即レスの当番表、営業時間外の自動応答テンプレ、追客リストの型までを作り、現場が迷わず回せる状態にします。

実装段階では、必要に応じてグループ会社のラフノートと連携し、LINE公式アカウントとCRM・予約システムの連携、友だち追加後のステップ配信の自動化、失注理由の集計までを巻き取ります。集めた失注理由は、週次のミーティングに乗せて、翌週に直す1点を決めます。即レス体制が回り始めると、「他社で決めた」失注は3割前後を目安に減らせる——これが、この段取りで狙う到達点です。

受信箱は、集客の最後の一歩であり、失注のいちばん近い原因です。友だちを増やす前に、来た一件を取りこぼさない体制を先に作ります。

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